バイトのぷりンス

まかない飯を食べること【9】

浅草橋洸彦

みなさんの働く動機は何だろうか?生活費を稼ぐためなのか、遊ぶためなのか?ぼくとしてはどちらも当てはまるけど、それ以上にアイデアを生み出すこと、あるいは創作のネタやヒントを得たいという思いもある。

イベントの企画や絵の制作を続けていると、飽きないための工夫、そして商いの両方を大事にしながら、楽しむとはどういうことかを考えるようになる。そうした日々のなかには、意外とたくさんの発見がある。

いちばんわかりやすいのが料理だ。働いてお金をもらう、もらわないに関係なく、飯代が浮くというのは、ときにお金よりも価値があることがある。経費をどう抑えるか、関わった人にできるだけ負担にならないようにできることは何だろうか?と考えていくと、おなかを満たすほかない。

スキマバイトの仕事は、最低賃金のところが多い。それでも、社会勉強としてシステムや人の流れを学ぶことができる。そんな日々のなかで、生活に欠かせない「食べること」を、まかない飯としてきちんと味わう瞬間が何よりも贅沢だと思う。

スキマバイトをいくつかこなしていくなかで、まかない飯ありと記載されていなかったにもかかわらず、仕事が終わった後にまかない飯を食べることがあった。まかない飯があることは期待していなかったが、いざ出てくると、お金以上に手の込んだ料理を食べられる幸福というか、お金をもらうこととは別の価値を受け取ったような気がした。

その現場で働く人や、スキマバイトとして訪れる人の双方が、長く関わり続けられるかどうか。どれだけ心地よく働けるかを利益だけでなく考えている仕事先は、果たしてどれほどあるのだろうか。

まかない飯は、お店の人がどんなかたちで作っているかを見るのもひとつの楽しみだ。工夫とアイデア、そして工業製品の進化や手作りのその場の味をフラットにとらえる。成功しているものやきれいなものだけを残し、雑多なものを排除する文化は好きではない。それは飲食に限らず、なんでも同じことだ。

味を楽しむというより、働くついでにおなかを満たして楽しむ。そのなかで、とくに気になったまかない飯をいくつか書いていく。

浅草橋洸彦

浅草橋洸彦

クリエイティブ労働者

有限会社アシダ企画代表取締役社長。天才百貨点主催。ぷりぷりから星葡萄を経て、現在は「下町のぷりンス」として君臨する。
1984年生まれ、育ち共にお江戸東京日本橋で産湯を浸かり、浅草橋で独立、家督を継ぐ。絵本作家、文筆業、出版事業他、喫茶評論、銭湯評論、鉄道評論、競輪評論、スナック・定食屋・食堂レポーター、レコードプロデューサー、他・他・他・他芸術家達の人間交差点としてマルチに活動し、前衛生活芸術没頭中。