とんこつの匂いが残った日
Uber配達をはじめたころ、実家から門前仲町にあるラーメン屋に配達依頼がかかり、受け取りに行った。届け先は永代橋周辺にある、永代という地域。
初めての汁物だった。テイクアウトをはじめたばかりのラーメン屋さんの依頼で、家系のとんこつ醤油ベースのラーメンだった。匂いがやたらと強烈だ。
届けたラーメンは梱包がきちんとされていなくて、カバンの中がすっかり汚れてしまった。たまたま置き配達だったので、玄関前でラーメンを写真撮影し、お客さんが玄関を開けないうちにさっと帰った緊張感を思い出す。カバンがとんこつ臭くなり、風呂場で何度も洗剤を入れて洗った。その後はしばらくラーメン配達恐怖症になっていた。
それ以降、ラーメン屋や牛丼屋のオーダーでみそ汁などの汁物を届ける場合は、カバンの中での配置に気を付けている。こぼれないようにクッションを敷くことが多いけど、それでも段差の衝撃で少しだけこぼれてしまうこともある。とくにラーメンを頼む人は早く到着しないとイライラする人が一定数いるので、気を引き締めて運んでいる。
友人のお店に立ち寄る前に
浅草橋近辺からUberの配達を開始する。毎週火曜日に菊川にあるシェアキッチン(オラ・ネウボーノ)で知り合いがうどんや山芋ステーキを出しているので、行くことに。配達の最終地点が菊川周辺に行けたらいいので、両国や新大橋、森下あたりのオーダーがきても受けるようにする。
目的の場所があれば、その近辺に最終的に到着できればいいと思っている。江東区エリア内は平坦な道が多く、道幅が広いため運転がしやすい。東陽町や扇橋あたりのオーダーは避ける。行けても、緑町や錦糸町、太平あたりまでだ。そのあたりの近場を左右上下行き来しながら運ぶ。

また気になるものを発見すると、写真に収めて、自分が描く絵の素材としてメモ代わりに撮影することもある。三つ目通り沿いにあるたばこ屋の看板が好きだ。疲れたら休憩がてら、竹の湯という銭湯に浸かり、飯を食べる前後に行くのもまた良い。目的があると、多少遠く離れていても、配達してしまう。
橋を越えるか、引き返すか
日本橋近辺~門前仲町、牡丹、深川、富岡あたりを走行する。小さい頃、自分が住んでいた町にスーパーがなく、近くに行くとすれば自転車を漕いで日本橋三越のデパートに行くか、門前仲町や清澄白河にある赤札堂に通っていた。自転車の際は墨田川大橋を越えるのがきつくて、いつも清洲橋を渡って向かうことが多かった。
配達で箱崎シティエアーターミナルにあるマクドナルドからオーダーがかかり、届け先が橋を渡った佐賀、福住あたりになると、気分次第であの橋を越えるかどうか、選択を悩むことがある。半分断ることもあれば、半分引き受けることもある。
門前仲町エリアに入ると、越中島に飛ばされることもある。月島のほうに行くと、また川を越えなければいけないので、いずれにしてもめんどくさいエリアだ。しかしながら門前仲町近辺から、永代橋を渡り、新川、八丁堀エリアにオーダーが入るときは、すぐに荷物を受け取るようにしている。永代橋はそこまで体力を使わなくても、しばらくその近辺で配達することが多くなるから、とてもよい。
もう行かないと決めた町
配達をはじめた頃に、二度と豊洲には行くのをやめようと決めた。ぼくは高校時代に月島にある都立高校に通っていて、友人が豊洲周辺に住んでいたのでたまに遊びに行っていた。その頃はまだららぽーと豊洲もオープンしていなくて、高層マンションは少なく、豊洲駅近くの枝川という地域に都営住宅があり、庶民的な町だった。
現在の豊洲は、ぼくからしてみたら何か人情味がないような、空虚というか、東京っぽさを感じない。この場所になぜ住みたいのか? と思ってしまうほどだった。中央区でたとえると、選手村の跡地になった、晴海フラッグや豊海の地域あたりか? とにかく交通の便が悪い。
さらにタワマンへ配達するとなると、Uberの配達員以外に宅配などの輸送会社も来るため、業務用エレベーターがどうしても混雑してしまう。その時間で縛られるのならば、ほかの場所で配達できるのではないかと思い、呼ばれてもそのエリアに行くことはやめた。あくまでその近辺に昔から住んでいるぼくの個人的な意見なのであしからず。









