街の中に潜むキュートなモチーフや建物、風景をお菓子で表現するスイーツ作家hacoさん。今回から街の気になった一部分を切り取って、アイシングクッキーで描く連載「Eatable City」。hacoさんのフィルターを通して見ると、街の中にはお菓子みたいなモチーフがたくさん。お菓子目線で街を歩けば、いつもの景色がかわいらしく思えてくるかもしれません。
夜の街を歩くとドキドキする。
昼間に街を歩くのも楽しいけれど、夜、いろんな明かりに照らされた街は、昼間とは全然違う表情で、明るい時間に見てもなんとも思わないような、よくあるガラス張りのビルでさえもかっこよく見える。
そんな夜の街で、見つけると特に嬉しいのがネオン。
最近はネオン風のLED照明もあるけれど、やっぱり昔ながらの、ネオン管を曲げて作られたものの方が雰囲気がいい。
どんなふうに曲げられているのか、端の処理はどうなっているのか、近づいていろんな角度から観察したり、電極の部分のガスが青く光っている様子を見るのも楽しい。
新宿西口 ヨドバシカメラのネオン
ヨドバシカメラがあるエリアはいろいろなお店が立ち並んでいる。
西口の、前回クッキーにした百貨店のあるあたりの上品な雰囲気とは正反対の、ちょっとごちゃごちゃしたところも好き。
ヨドバシカメラのネオンはネオン管がふんだんに使われていて、夜だけではなく、昼間見てもいいネオンだと思う。
節電のためなのか、数年前から背景の白は光らせていないみたい。
「電」
「バ」
「メ」
『電』のネオン管は、背景の緑よりも少し明るい緑色に着色されている。
『バ』と『メ』ネオン管は透明。中に入れるネオンが光って、赤く光るようだ。
背景のアイシングを塗った後にネオン管の薄い色のアイシングを乗せると、ストライプ柄のようになってかわいい。
吉祥寺 三千里薬品のネオン
駅の北口を出てすぐ、ハモニカ横丁の右手頭上にある、三千里薬品のネオン。
クッキーとネオン看板を比較したくて、左半分を作ってみた。
曲線は描くのが難しいので、あらかじめ背景のアイシングを塗ったクッキーに製菓用のニードルで目安になる跡をつけ、その上をなぞるようにしてネオンを表現するアイシングの線を乗せる。
真ん中の赤い背景部分の直線のネオンは黄色っぽく光って見えたので、その色で描いた。
クッキーと看板を一緒に撮ると、半分が消えてしまったみたいになって面白い。
曲線部分のネオンがぴったり重なって、ちゃんと同心円に見えたので嬉しかった。
暗くなるまで待っていたのだけど、いつまで経ってもネオンが光らない。
おかしいなと思ってよく見たら、三千里薬品は閉業してしまっていて、新しく居酒屋ができていた。
大好きなネオンだったので、もう光っているところが見られないのは悲しい。
無くなってしまうのは寂しいので、このまま残っていてくれたらいいなと思う。
在りし日の三千里薬品のネオン
光っているネオンと一緒に撮りたかったな。
吉祥寺といえば、コスモビルのこのネオンも好き。
ちなみに、吉祥寺の三千里薬品のネオンは消えていたけど、宇田川店のネオンは光っていた。
渋谷 フルーツパーラー西村のネオン
スクランブル交差点、センター街の入り口にある、フルーツパーラー西村のネオン。
右側の、フルーツの形のネオンだけを切り取ってつくった。
夜にネオンが光っているところを表現したかったので、背景は少し暗いグレーに。
濃い色のアイシングの上に薄い色のアイシングを重ねて、ネオン管が発光している様子を表現した。
夜の渋谷は人で溢れかえっていていて、立ち止まって写真を撮るのが難しかった。
明るい時間はこんな感じ。
福生 ブルーシールのネオン
国道16号沿いにある、ブルーシールのアイスクリームネオン。
初めて見たとき、アイスクリームの溶けた感じをネオンで表現するなんてすごい!と思った。
『Big Dip』の文字の形もかわいい。
この文字のネオンもフルーツパーラー西村と同じように、濃い色のアイシングに薄い色のアイシングを重ねて光っているように見せている。
ブルーシールのアイス、おいしかった。
夜のアイスクリームネオンと福生の気になるネオンたち。福生には米軍横田基地があり、通りに並ぶお店もどこか外国を感じさせるものが多い。