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2022.08.19

06 カラフルな歩道

haco

街の中に潜むキュートなモチーフや建物、風景をお菓子で表現するスイーツ作家hacoさん。今回から街の気になった一部分を切り取って、アイシングクッキーで描く連載「Eatable City」。hacoさんのフィルターを通して見ると、街の中にはお菓子みたいなモチーフがたくさん。お菓子目線で街を歩けば、いつもの景色がかわいらしく思えてくるかもしれません。


 

知らない街へ行く機会があるときは、予定よりも少し早めに出向いて、周辺を歩く。
おもしろい形のビルやかわいいマンション、看板、ネオン、etc…
いつも上を見たり下を見たり、気になるものを探しながら歩いている。
似ている街はあるけれど、同じ街は一つもなくて、どんな街でも発見があって楽しい。
今回はそんな街の気になるパーツの一つ、「カラフルな歩道」のアイシングクッキーを作った。

浅草の歩道


浅草駅のすぐ近く、吾妻橋交差点に建つ神谷バーは、日本で初めてできたバー。電気ブランという名のブランデーベースのカクテルが有名だ。


その東側の歩道には、雷門と仲見世をモチーフにした、かわいいテラゾーがある。


真上から撮った写真をカラーコピーして透明のシートを上に乗せアイシングクリームで線をなぞって作った、砂糖でできたテラゾー。

質感をより似せるため、着色したグラニュー糖を上からまぶした。


アイシングが完全に乾いたらシートから剥がし、灰色のアイシングを塗った土台のクッキーにパレットナイフで移動して、

土台のアイシングが乾かないうちに、周りの細かな線を書きこむ。



神谷バーは明治13年創業。1921年に建てられたビルは、登録有形文化財に登録されている。


浅草の一番象徴的な風景は雷門と浅草寺だと思うけれど、わたしは吾妻橋交差点から見えるアサヒビールのオブジェとスカイツリーからも浅草らしさを感じる。


葛西の歩道


東京メトロ東西線、葛西駅の西側の高架下にあるショッピングセンター「メトロセンター葛西」


その床には、えんじ、緑、白色、3色の菱形テラゾータイルが敷き詰められている。


タイルのパターンで、立体的に見える床はだまし絵のよう。積み上げられた箱のようにも見える。


クリアファイルをタイルの形に切り抜いて、それぞれの色ごとに硬めのアイシングでステンシル。


一色塗るごとにしっかり乾かさないと次の色が乗せられないので時間がかかる。

テラゾーの質感は、浅草の歩道と同じように着色したグラニュー糖で表現した。



東側の高架下高架下には、地下鉄博物館がある。

入り口横の、開館当時に営業していた路線のカラーのラインと地下鉄の台車を組み合わせた壁画がかっこいい。


地下鉄博物館はそんなに広くはないけれど、東京メトロの歴史や昔の車両の展示、運転シュミレータなどもある。特に昔のポスターの展示が興味深かった。

東京メトロ24時間券を持って行くと、金の箔押しがかっこいいオリジナルクリアファイルがもらえる。


板橋の歩道


板橋区役所から山手通りを少し南下した所に、緑、青、えんじ色の組み合わせのブロックでできた歩道がある。

青いブロックが使われた歩道は今まで見たことがなくて、数年前に通りかかったときに気になって写真を撮っていた。

この色の歩道は、首都高5号池袋線と中央環状線の分岐点から東側に300メートルほどあるのみのようだ。


透き通った感じの表面が特徴的なこのブロックは、骨材に輸入ワインの瓶などを細かくしたガラスが使われているみたい。

よく見るとガラスは単色ではなく、白や黒のかけらが混ざっている。

はじめに硬いアイシングクリームで溝部分の線を絞り、線の内側にタイルを描くようにしてゆるめのアイシングを絞る。

その上にガラスの色にそれぞれ着色したグラニュー糖を筆で叩き込むようにして乗せていく。


さらに爪楊枝で白や黒に着色したグラニュー糖を、数粒ずつ散らすように載せる。

完全に乾いてから硬めの筆で表面をこすって、よりザラザラした感じを出した。



首都高5号池袋線と中央環状線。2段になっている高速道路がある光景を見ると都会を感じる。

中央環状線の橋脚は、大きなタイルが貼られているような形状。同じ首都高でも橋脚の形や色は様々で、違いを探すのが楽しい。


谷保の歩道


谷保駅の北東にある谷保北口商店街のコパン通りとフラネ通りは、道路にインターロッキングブロックが敷き詰められている。

白線もブロックで、八角形と正方形の組み合わせでできている歩道部分は、ピングとグリーンの組み合わせが可愛らしい。


はじめに小さな正方形のブロック型にくりぬいたクリアファイルでクッキーにステンシル。


そのあと溝の線を二重に引き、乾いたら緩めのアイシングクリームを少し盛り上がるくらいたっぷり絞る。

最後に琥珀色のコーヒーシュガーを粉状に砕いたものを振りかけ、ザラザラした感じを出した。



フラネ通りにある公園の向かいには、ダイヤ街という雰囲気がいいアーケード商店街が。


谷保には団地がたくさんある。特に好きなのはこのピンク色の団地。もうすぐ建て替えられてしまうみたい。


北側に伸びるさくら通りをゆっくり30分くらい歩くと国立駅に着く。

桜の季節もいいけれど、桜の葉が生い茂り、緑のトンネルのようになっている今の季節に歩くのも気持ちがいい。


haco

アイシングクッキーやバターケーキなどで、街にあるモチーフを表現するお菓子作家として活動中。東京ビルさんぽメンバーとして「いいビルの世界 東京ハンサムイースト」(大福書林刊)に携わる。2022年にはトゥーヴァージンズから『秀和レジデンス図鑑』を刊行予定。1960〜70年代に建てられた、とくにデコボコ、ギザギザしたヴィンテージマンションや駅の床にある矢印を撮り集めている。