スキマバイトをしていると、知らない間に胡散臭いような人や仕事に出会うことがある。最近の出来事では、オープンして数週間のお魚を扱うお店でのことだ。勤務前に口コミを調べてみると、お魚にボリュームがあって調味料にもこだわりがあり、店内も小綺麗な感じで楽しみだった。

仕事内容はレジ打ちとホールのはずであったが、いざ入ってみるとほかの仕事も任されることになった。丼ぶりや重箱にご飯をよそい、味噌汁を注いで、お盆に配置する。手が空いたら洗い物とバッシングをする仕事だ。

あるタイミングで店長がホールを担当することになり、ぼくが厨房に入ると、厨房担当の人にいきなり「邪魔だ」と言われて感じが悪かった。店長が来て事情を説明し、何とか事態を回避できた。はじめは厨房の人が何を話しているか分からなかったが、盛り付けなど丁寧に教えてくれて、途中から話すようになった。

話しているうちに、厨房の人がこう言った。

「店長、ヤクザでさ。車に入ってシャブやらないと落ち着かないんだよ」

冗談なのか本当なのか分からないが、初めて来た現場で聞く話ではないなと思った。さらに話をしていると、「君は運転できるか?」と聞かれた。できると伝えると、「今よりいい金になる仕事があるんだけど……。配送なんだけど、やってみないか?」と誘われた。
何の配送をやるのかわからないし、そもそも初対面の人間にする話なのか?あやうく話していくうちに組員に入ってしまうのか?

「うちはスタッフには手厚く扱うから」と言うけど、怖い。帰りに、どこの会社か調べてみたら、やはり……そういうことか。
人なんて、どこかでやばいところもあるし、ちゃんとしていそうに見える人でも、長く付き合えば違う面が見えてくる。
ここからは、このような胡散臭くてどこかコミカルな仕事を紹介する。「胡散臭い仕事」の章も、どうぞお楽しみに。

浅草橋洸彦

浅草橋洸彦

クリエイティブ労働者

有限会社アシダ企画代表取締役社長。天才百貨点主催。ぷりぷりから星葡萄を経て、現在は「下町のぷりンス」として君臨する。
1984年生まれ、育ち共にお江戸東京日本橋で産湯を浸かり、浅草橋で独立、家督を継ぐ。絵本作家、文筆業、出版事業他、喫茶評論、銭湯評論、鉄道評論、競輪評論、スナック・定食屋・食堂レポーター、レコードプロデューサー、他・他・他・他芸術家達の人間交差点としてマルチに活動し、前衛生活芸術没頭中。