バイトのぷりンス

サウナーに大人気のカレーライス【17】

浅草橋洸彦

都内の歓楽街にある老舗サウナ施設では、スキマバイトの募集が定期的に行われている。ぼくはスタッフの人たちが優しいので募集があるたびに応募しており、気づけば10回ほど勤務している。仕事の内容は、飲食スペースのホールスタッフや、カプセルホテルの清掃作業など。

飲食スペースのホールスタッフの仕事は、まずお客さんが入店したらお水を持って行き注文を伺う。それから出来上がった料理をお客さんのもとに運ぶ。スキマバイトで入る一般的な飲食店とシステムは変わらないのだが、時間の流れがゆっくり感じ、働いていて居心地が良い。ゆるいとも違う。従業員の方と適度な距離はあるのだが、しがらみがなく、チーム連携ができている。ある日ホール業務で一緒に入った固定バイトの方は、べつの日には受付の業務をやっていた。この職場は、いろんな仕事を任されるのだろうか?

カプセルホテルの清掃作業は、お客さんがチェックアウトをする時間帯からはじまる。各階ごとに分かれ、チームを組んで掃除を行う。まず最初に布団や枕にあるシーツを取り外すのだが、思った以上に力仕事でシーツは青やオレンジ色の袋にまとめて下の階に運ぶ。続いて、初心者はカプセルホテル内の清掃作業に入る。階段や手すりを拭き、カプセル内の掃除をする。テレビのスイッチやごみなどが残っていないか確認し、ヘッドフォンなどの備品は元通りに戻す。上段・下段を交互に移動しながら、約160個のカプセルを掃除していく。自分が掃除した場所には、今度は長年働いているスタッフの2人組がシーツや布団を整えていた。その身のこなし方は、まさに仕事のプロだった。

お昼ごろになると、清掃スタッフ全員が飲食スペースのある厨房にまかない飯を受け取りに行く。厨房の人が日替わりでメニューを作ってくれて、ざるそばのときもあれば、メンチカツ、ハンバーグの日もあった。どのまかない飯も美味しいのだが、一番美味しかったのがカレー。専用のスパイスが使われていて、利用客の間でもとても人気があるそうだ。

カレー専用の燻製オイルが気になり、「味見したいです」と一言伝えて食べてみた。カレーにかけると燻製の香りが強かったが、味玉や豆腐にかけたりすると美味しそうだなと思い、スキマバイト終わりに購入した。

お昼休憩が終わり、メンバー全員が作業前に手洗いだけではなく、歯磨きもするのがとても不思議だった。口臭もさっぱりしたところで、残りの作業を再開する。

5時間労働のうち、休憩は30分。毎回、後半になると終わらないのではないかと感じるが、何とか終わらせることができた。スタッフの人が誰に対しても丁寧に接してくれる姿勢、そして働いている人との交流がとても心地よく、よい職場だなと思った。仕事の後に風呂に入れるならば、ずっと働いてみたい職場。

浅草橋洸彦

浅草橋洸彦

クリエイティブ労働者

有限会社アシダ企画代表取締役社長。天才百貨点主催。ぷりぷりから星葡萄を経て、現在は「下町のぷりンス」として君臨する。
1984年生まれ、育ち共にお江戸東京日本橋で産湯を浸かり、浅草橋で独立、家督を継ぐ。絵本作家、文筆業、出版事業他、喫茶評論、銭湯評論、鉄道評論、競輪評論、スナック・定食屋・食堂レポーター、レコードプロデューサー、他・他・他・他芸術家達の人間交差点としてマルチに活動し、前衛生活芸術没頭中。