NeWORLD インタビュー

サンデー・ベアと一緒にドライブへ出かけよう!ロブ・キドニー、新作ソフビ誕生ストーリー

NeWORLD 編集部

一目で心をつかみ、どこかユーモラスで、それでいて強い存在感を放つ作品を作り続けるロブ・キドニーさん。彼と中空工房のコラボレーションから生まれたソフビシリーズに、第2弾として新たな仲間「サンデー・ベア」が加わりました。制作の裏側に込めた思いや、VINYLで開催される個展について、お話を伺いました。

——サンデー・ベアは、どのようなイメージやきっかけから生まれたキャラクターなのでしょうか。
中空工房との最初のコラボで発表したフライデー・ベアでは、金曜の夜にレコードを掘ったり、ディスカウントスーツを着たりといった日常的なキャラクターのライフスタイルに多くの人から反響がありました。そこでサンデー・ベアでは、よりプライベートな世界観を深く掘り下げたいと思いました。毎週日曜の朝、ゴロゴロしながら同じ夢を見るという設定です。冴えない生活を送るサンデー・ベアは、夢の中で常に耀く太陽の下、ピカピカに磨いた“ドリームカー”を運転し、近所を走り回りながら友人たちにエールを送る……というストーリーです。

▲ロブ・キドニーさん初となるソフビ「フライデー・ベア」。毎週金曜日の夜にレコードを漁りに街へ繰り出すサラリーマンくま

——サンデー・ベアのプロフィールはどのように決められたのでしょうか?
現在のスタジオが埼玉の田舎にあるため、地域の環境を創作に盛り込んでいます。最近までスタジオの近くに、45年間営業していた小さな個人経営のスーパーがありました。それはノスタルジックな雰囲気で、家庭的なお弁当がいつも並んでいました。私は、サンデー・ベアがそこで働き、いつも笑顔で商品を陳列し、常連のお年寄りと気さくに会話を楽しんでいる姿を想像しました。シフトが終わると、店長がお弁当を持たせてくれて、彼は近くにある居心地のいい六畳一間のアパートに帰ります。

——立体になったサンデー・ベアをご覧になって、率直にいかがでしたか?
自分のキャラクターが初めて立体になる瞬間は、いつも感情的な体験です。サンデー・ベアでは、フィギュアと車が、元のドローイングの雰囲気やディテールを驚くほど忠実に再現していることに心を打たれました。特に、ドローイング通りの歪んだ車輪のゆるい動作に感動しました。

——どんなコンセプトやデザインの狙いがあるのでしょうか?
今回のコンセプトは「夢に見る憧れの車」がテーマになっているため、非現実的なディテールを視覚的に表現したいと考えました。車もキャラクターもあえて丸みを持たせ、子どもっぽく、柔らかく自由なイメージに仕上げています。夢の車なので、アイデアは何でも詰め込みました。車輪の配置はめちゃくちゃで、フロントにはおちゃめな顔があり、排気ガスから生まれる雲はまるで生き物のようです。また、フライデー・ベアで使った色の一部を再び取り入れ、2体の繋がりを持たせました。車の色に赤とピンクを選んだのは、1950年代のアメリカンクラシックなテールフィンへのオマージュです。

車体のロゴやナンバープレートなど、すべて手描きによるデザイン
ロブ・キドニーさんの筆跡をそのまま再現したタッチ
タイヤがくるくる回る仕様
飛行機やロケットの尾翼のようなテールフィンをオマージュ

——中空工房とのコラボを通して、ご自身の表現で新たに発見したことや、刺激を受けた点はありましたか。
コラボ制作は、これまでも創作において重要な役割を果たしてきました。シンプルなドローイングを立体物に落とし込むには課題がいつも付きまといますが、その分予想を超えたクリエイションに驚かされる事例も多いです。このプロジェクトを通じて、ソフビ作品におけるストーリー性を深く設定し、キャラクターにとって強いバックストーリーがいかに重要かを再認識しました。人々がサンデー・ベアに親しみを感じ、彼のライフスタイルにも共感してくれたら嬉しいです。

——制作の際は、どのような手順で作品を形にしていくのでしょうか。
まずは平面でドローイングすることです。描いたキャラクターが立体になる時、元のドローイングの良さ(フリーハンドの線や勢い)を失わないよう気をつけています。形やバランスを探るために、紙粘土でラフを作ることもあります。また、幸運なことに妻が陶芸家なので、造形の過程でサポートしてもらえるのも大きな助けになっています。

——平面作品と、ソフビという立体作品では、制作の中で意識している違いはありますか。
ドローイングは創作の基盤であり、長年にわたって日課とし、ほとんど強迫的ともいえるほど続けてきました。数多く生み出されるキャラクターの中には、後から詳細なドローイングや絵画へと発展するものもあります。立体制作は自分にとって新しい挑戦で、最初は苦労しました。しかし数年前、ある種の“悟り”のような瞬間があり、スケッチでも、キャンバス画でも、壁画でも、立体作品でも、すべてを同じ姿勢で向き合い、等しく表現できるようになったのです。

——ロブ・キドニーさんの作品は鮮やかな色が特徴ですが、色使いで大切にしていることは何でしょうか。
色に関しては、4色刷りのオフセット印刷スタジオで働いていた若い頃から、常に生きがいとしてきました。美大在学中は色の実験に没頭し、ぶつかり合う色彩が生み出す緊張感やエネルギーに魅了されたものです。スタジオではいつもダンスミュージックを流しています。それが制作のリズムを作ってくれるのです。音楽によって色選びは触発され、さまざまな色が振動し、ハミングするように、愛してやまない音楽を視覚的に昇華しようとしているのです。

——今の作品につながっていると感じる、影響を受けたものがあれば教えてください。
日本での生活は、常に創作のインスピレーション源です。東京で14年間、ギャラリー「WISH LESS」を運営してきたことは、自身にとって多大な影響を与えてくれました。たくさんのアーティストたちと出会い、多くのことを日々学んでいます。また最近では、1980~90年代の日本の「ファンシーグッズ」にもハマっています。当時の独特のユーモアと、優しいパステルカラーに魅力を感じています。

——今回VINYLで開催される個展は、どのような展示になりそうでしょうか。
VINYLでの個展では、サンデー・ベアを中心に描いています。彼の夢と、それを取り巻くコミュニティを象徴する展示です。多くの新キャラクターや新しい絵画技法を紹介するとともに、ハンドペイントの陶芸作品も展示します。最終的には、観る人が日常の悩みから少しだけ解放され、無垢なキャラクターたちを通して、安らぎや温かさを感じ取ってもらえたら嬉しいです。——それからほんのり“おちゃめさ”も。

——最後に、今後の展望について教えてください。
これからも常に新しい表現方法を模索し、次なる技術、新素材を試していく予定です。とくに陶器への絵付け表現を、さらに発展させていきたいと考えています。また、ファッションや音楽の分野を中心に、今後も多様なコラボを続けていきたいと願っています。

[プロフィール]

Rob Kidney ロブ・キドニー

英国出身。音楽やアパレル、雑誌などで活躍するアーティスト・イラストレーター。鮮やかな色と力強い手描きのラインでインパクトのあるイラストが特徴的。東京・田端のギャラリー「WISH LESS」のオーナーでもある。