バイトのぷりンス

君、パチンココンサルやってみないか?【25】

浅草橋洸彦

たまに胡散臭いバイトに出会うことがある。バイト募集の項目には、「待機時間はスマホOK!商品仕入れのお手伝い。実働10分。誰でも簡単です!」というキャッチコピーが気になり応募した。今思い返すと、会社の名前からしてどこか怪しかった。その名も「りありてぃ」。どこでもありそうで、どこにもなさそうな響き。バンド名のようであり、妙に怪しい。

当日は10人ぐらい集まっただろうか。勤務時間は1時間。パチンコ店のオープン前に並んでくじをもらう仕事内容だ。ギャンブルの中でもパチンコはやったことがないので、なぜくじの番号をもらうことがお金になるのか不思議に思いながらも、疲れない仕事だったので何度か働いた。
どこの店舗でも開店前に人の列があり、調べてみると入場方法はいくつかのパターンに分かれているようだった。

・整理券を取った順に入場
・整理券を取った順に抽選を引き入場順番が決まる
・整理券なしで、並んだ順に入場
・スロットのみ整理券なしで、並んだ後に抽選を行い入場順が決まる

打ちたい台が決まっている人は、早めに並ぶ必要がある。一方で特にこだわりがない場合は、一般入場で入るのがよいらしい。そんなある日、その会社の方から「パチンココンサルをはじめようと思っていて、君も興味はないか?」と誘われた。

仕事内容に興味があったが、話を聞けば聞くほど胡散臭さが増していき、仕組みもよくわからないまま、結局その方と連絡を取るのをやめた。大まかにいうとパチンコの助言をする仕事らしい。もしぼくがパチンコ好きだったら、もう少し興味を持っていたのかもしれない。それでも、やはりよくわからないものには手を出さないほうがいいだろう。

ぼくはギャンブルといえば、主に競輪をやる。ボートレースもやるけれど、競輪はスポーツとしても楽しめる。レース中に響く自転車の音や、競輪場に漂うどこか「大人の公園」のような空気感も好きだ。しっかり考えて外れたとしても後悔はないし、かといって深追いもしない。たとえば3回外れたらその日はやめる、というくらいの距離感で付き合えば、競輪はとても健康的で面白い遊びだと思う。近くの大衆酒場をはしごしながら、賭けなくてもその場の雰囲気を味わえるのも魅力だ。

もし競輪コンサルだったら、立候補したかった。ただ、その方は便利屋の仕事をしながらコロナ禍がはじまったころにいろいろなビジネスを模索していたのだろうとも感じた。

募集は数か月続いていたのだが、ある日突然消えてしまった。パチンココンサルを誘ってくれた方は、お世話になっている映像企画の仕事をしている方に顔がそっくりだった。だからだろうか、仕事の話は抜きにして一度飲んでみたかったなと思う。どんな人生観を持っているのか、なぜその仕事に興味を持ったのか。自分も便利屋ではないにせよ、裏方の仕事をすることが多かったから、どこかで話は通じたかもしれない。

浅草橋洸彦

浅草橋洸彦

クリエイティブ労働者

有限会社アシダ企画代表取締役社長。天才百貨点主催。ぷりぷりから星葡萄を経て、現在は「下町のぷりンス」として君臨する。
1984年生まれ、育ち共にお江戸東京日本橋で産湯を浸かり、浅草橋で独立、家督を継ぐ。絵本作家、文筆業、出版事業他、喫茶評論、銭湯評論、鉄道評論、競輪評論、スナック・定食屋・食堂レポーター、レコードプロデューサー、他・他・他・他芸術家達の人間交差点としてマルチに活動し、前衛生活芸術没頭中。