NeWORLD インタビュー

CASIO 60th Anniversary 企画 小型電卓「pocket-mini」の広告ビジュアルを再構築! ケンエレファントのアパレルコラボが始動

NeWORLD 編集部

今年で60周年を迎えるカシオ計算機とケンエレファントが、今度はアパレルでコラボレーション。ケンエレ初のアパレルプロジェクト始動ということで、ケンエレ制作チーム「すうぇっとくらぶ」の企画Tさん(以下、T)、生産Sさん(以下、S)、デザインKさん(以下、K)の3人に、立ち上げの背景とその紆余曲折についてインタビューを行いました。

ーーカプセルトイのイメージが強いケンエレファントから、企業コラボのアパレルが出るのは意外でした。

T:今まで多くの企業さんとコラボしたミニチュアフィギュアを展開してきましたが、そのご縁を長く活かしていきたかったんです。
企画会議で、各社のプロダクトの魅力をもっと発信する方法はないかな? と話していた時に出た案がアパレルでした。
その時はうちならではのデザインで展開したいねって話が盛り上がって、まだ案件もないのに「すうぇっとくらぶ」というチーム名、各々の役割分担まで考えました(笑)。そしたら今回、本当にカシオ計算機さんとのアパレル企画が動き出したということで、正式に初代「すうぇっとくらぶ」を発足させました。

S:急な召集でしたね。

ーー企画が決まってからの進行は順調でしたか?

T:難航しましたね。当初はもっとスムーズに進むと思っていたのですが……。

S:カシオさんの60周年に合わせた企画なので、ミニチュアにもなった「ヒストリカル計算機」とか、昔からあるカシオデザインをアパレルに落とし込めないかな、という発想から始まりました。

2025年9月にケンエレファントから発売された「CASIO ヒストリカル計算機 ミニチュアマスコット」

T:粉っぽい、ざらついたグラフィックとかが出来たらいいなあっていう考えはあったんですけど。

K:昔、カシオから出ていたゲーム付き電卓のパッケージとかもすごくかわいいんですよね。そういう過去の商品の販促物とか広告の膨大な資料を頂いて、いくつかラフデザインを組みました。
初期案なのでゲームのパッケージを落とし込んだり、カシオを創業した通称・樫尾(かしお)四兄弟の写真を使ったり、自由に組み合わせました。

80年代に販売されていたゲーム付き電卓のパッケージ(仮)

S:樫尾四兄弟は60周年のHPにもいます。

>>カシオ計算機60周年記念ページ<<

ーーマニアックなチョイスですね。

T:この案でカシオさんにラフを提出したら「いじってますよね?」と言われてしまいました(笑)。

K:らしいですね。使用させていただいたビジュアルたちは、当たり前ですがすでにデザインとして成立しているものだったので、余計な手は加えない代わりに、印刷で少し遊ぶようなイメージだったのですが、先方のイメージとは少し違ったようでした。

T:窓口を担当してくださったカシオのSさんが、ファッションにも造詣の深い方で、「何かを落とし込むだけのデザインはどこでもできることなので、あのカシオのミニチュアを作ったケンエレファントが、今度はカシオでアパレルを作るとこうなるいうのが見れたら嬉しいです」と熱い言葉をいただきまして。

K:それを踏まえてラフを作り直しました。その時に一つモチーフを決めましょうとなり、「pocket-mini」が採用されました。

60周年のキービジュアルにも採用されているpocket-mini
名前の通りポケットにもすっぽり収まるミニサイズ

ーーそこでデザインのベースができたんですね。

T:その時めざしたものは、一般的じゃないというか、よりハードコアなケンエレらしいデザインでした。試行錯誤して完成した第2案をカシオさんに見せると、今度は(おそらくカシオ社内で調査等を行った結果……)「着れません」と言われてしまいました(笑)。

S:このデザインのスウェットは、着ない! と断言されてしまいましたね。

K:ちょっとショックだったよね。

T:そこで皆すこしシュンとしちゃって(笑)。

ーーデザインが尖りすぎていたということでしょうか?

K:それもありますし、カシオさんがイメージしていたレトロフューチャーっぽいテイストからは少し離れていたからですかね。

ーーそこからどうやって今のデザインになっていったのでしょうか。

K:もう一度チームで話あった結果、「着れない」という意見を無視することに決めました。

ーー無視ですか!

T:アパレルは特に顕著だと思うのですが、一人ひとり違う趣味趣向の平均値をとっていくと、どうしても無難な形になりがちです。なので、ケンエレファント内でこれがいい!と情熱を持ったデザインで突っ走ろうと決めました。弊社には一般から逸脱した服の趣味をもつ社員も多いので、落とし所を迷うところではありましたが……。

K:ラリーを重ねて行くうちにSさんの趣向がわかってきたこともあって、カシオとケンエレ、双方が納得できる塩梅で調整できた気がします。レトロフューチャーに寄せすぎてもつまらないですしね。

当時の質感を再現! レトロフューチャーなコズミックデザイン

ーーでは実際のデザインを見ていきたいと思います。グラフィックのデザインは最初から最後までKさんが担当だったんですよね。

K:ラフから全て僕ですね。pocket-miniのデザインは当時のイカした広告の写真を使用しています。これと、当時の広告に存在する記号的なモチーフを組み合わせてリデザインというか、新しく構成し直すみたいな気持ちで制作しました。

1972年のpocket-miniの広告

ーーコズミックな感じは当時の雰囲気を再現しているんですね。

K:この時代の広告って、グラデーションとか、テクノロジーとか、光、空、みたいた素材がよく登場するんです。なぜか自然と調和させたり、壮大な雰囲気を出したい時は地球が使われたり。

S:宇宙から撮影した風の写真とかね。

K:やりすぎても今度はpocket-miniとの乖離が生まれてしまうので、なるべく馴染むバランスで。あとは解像度をあえてどんどん低くしました。当時、実際に発売された企業Tシャツみたいにしたくて、荒らしたり、モザイクかけたり。印刷は悪ければ悪いほど良いかなと。
80年代をリアルタイムで生きてきた人間として、この3人の中に共通言語があったから、イメージの統一はスムーズだった気がします。

赤いグラデーションはポケットのイメージ

S:印刷もあえて数回の洗濯で質感が出てくるような方法で行っています。最初は4色分解のシルク印刷を考えていましたが、流石に価格がハマらなかったのと、工場が悲鳴を上げてしまったので最終的にはインクジェットになりました。

K:デザインデータ上でかなり手を加えているので綺麗に出るか心配だったのですが、白のグラデーションもバッチリ出て良かったですね。

カシオとケンエレ、2社の努力が形に

ーー商品写真の撮影はカシオさんの本社で行ったんですね。

K:単純にモノだけを撮るよりも、よりコラボ感を出したいと思ったので本社で撮影させていただきました。

ーー双方の社員がモデルを務めていたのも良かったです。

K:カシオからモデルで参加してくれた社員さんはプロダクトデザイナーの方なのですが、「ぜひトライさせてください!」と快く協力してくれました。写真映えするロケーションで、かっこいいビジュアルを撮影することができました。

>>撮影の様子はカシオ公式HP内での記事にて掲載中!こちらからご覧いただけます。<<

ーー色々な方の協力あってのコラボだったんですね。

K:みんなで頑張った感じでしたね。今回新たに立ち上がった「すうぇっとくらぶ」は部署をまたいだイレギュラーなメンバーで構成されていましたし。

T:フィギュア以外でも企業さんとコラボすることができたのが嬉しいです。一回限りの関係で終わらずに、営業担当がコンタクトを取り続けてくれていたおかげでこの企画が実現しました。
一緒に組んでくれたカシオさんにとっても、何かプラスになったらいいなという気持ちもあったので、60周年を一緒に盛り上げることができてよかったですね。

S:せっかくいただいたご縁ですから、これからも末長く良い関係を続けていきたいと思います。

ーー今後アパレルコラボ第2弾の可能性はあるんでしょうか。

T:あります! もう打診しています。今回のコラボの反応も参考に、次の企画もどんどん進めていきたいと思っていますので、おたのしみに!

2025年11月
構成・編集:水口麗