NeWORLD インタビュー

『ぎょうざちゃんミニチュアコレクション』&絵本『のっけてみたの』リリース記念
“お絵描きのプロフェッショナル”モニョチタポミチinterview

NeWORLD 編集部

2024年5月、オリジナルキャラクター「ぎょうざちゃん」のミニチュアフィギュアと、絵本『のっけてみたの』のリリースを控えるアーティスト・モニョチタポミチさん。今回は絵本制作の裏側やぎょうざちゃん誕生についてのお話しをうかがいました。

意外な誕生秘話! ぎょうざ仙人がぎょうざちゃんになるまで

――「モニョガール ソフビマスコット」に引き続き「ぎょうざちゃんミニチュアフィギュア」がカプセルトイとして発売されますが、オファーがきた時はどんな気持ちでしたか?

基本的に無表情で棒立ちが多いぎょうざちゃんですが、たまに動きや表情のある絵も描くことがありました。いろんなポーズや表情のぎょうざちゃんを立体にすることは、以前から私もやってみたかったことなので、お話をいただいた時はすごく嬉しかったです。
しかも、立体にしてもらうなら絶対ケンエレさんでと思っていたので、それが叶ったことも合わせて嬉しかったですね。

――ぎょうざちゃんのポーズやバリエーションはモニョさんが全て考案されたのですか?

そうですね。今までグッズ用に提供したイラストに描いたぎょうざちゃんの中から10種類くらい候補を出して、そこから立体にする絵をピックアップしていただきました。この4種類は私も全部気に入っています。ぎょうざちゃん愛あふれる担当者さんから、熱い感想をいただけたこともありがたかったです。(笑)

――フロッキーなどの柔らかさを表現できる素材ではなく、しっかり硬いフィギュアというのが少し意外でした。
モニョガールのガチャが出た時に、ラッキーアイテム(ランダムのおまけ)としてぎょうざちゃんの小さいフィギュアを作っていただいたんです。それ以外だと立体物はぬいぐるみしか出ていないので、ラッキーアイテム以来の硬いぎょうざちゃんの誕生になりました。ぬいぐるみよりも形がしっかりしているからより絵に近い表現ができるというか、絵がそのまま3Dになったようで、ぎょうざちゃんにはとても合っていると思います。

――そもそも、ぎょうざちゃんというキャラクターはどのように生まれたのでしょうか?
最初の誕生は、私が学生の時です。当時、美術系の学校に通っていたのですが、ある時、デッサンの授業で使う練り消しを粘土みたいにして遊んでいたんです。それでなんとなく餃子を作って、そのままだと味気ないから顔もつけて……たしか最初に眉毛をつけたんです。そこから、眉毛が太いのっておじいさんっぽいな、と思って仙人みたいな長いヒゲもつけました。
その後の過程とかはあまり覚えていませんが、眉毛だけは今のぎょうざちゃんにも残っていますね。ぎょうざちゃんは餃子の妖精ですが、餃子であることに実はそんなに意味はありません。(笑)


▲最初のぎょうざちゃん。仙人のような穏やかな見た目。

▲その後、だんだんと現在のような姿へ

――最初は絵じゃなくて立体として誕生したんですね。
そうなんです。でもそこから自分でもぎょうざちゃんをいっぱい描くようになって、学校の課題とかにも登場させていました。なのでもう9歳くらいになりますね、ぎょうざちゃんは。


▲仙人ぎょうざちゃん誕生から半年後、アパレルブランドgalaxxxyから発売されたぎょうざちゃんパーカー

――ちなみにモニョさんは何餃子がお好きなんですか。
お店で頼む頻度的には焼き餃子が多いですかね……でも水餃子もモチモチしてて好きです。ぎょうざちゃんは、水餃子に近いイメージです。

――なんとなく皮はぶ厚い感じがしますね。
そうですね。(笑)本当に最初の頃は4コマ漫画とかも描いていて。いろいろなキャラクターが出てくる4コマだったのですが、その漫画ではぎょうざちゃんの設定みたいなものもありました。中身の餡が辛いと顔が赤くなっちゃう、みたいな。(笑)
最近は4_コマ漫画を書けていませんが、今回の「ぎょうざちゃんフィギュアコレクション」では4コマ漫画に登場していた頃のような、さまざまな動きをしたぎょうざちゃんを表現できたと思います!

小学校時代の夢は絵本作家だった

――つづいて絵本「のっけてみたの」についてもお聞きしたいと思います。モニョさんにとって初めての絵本作品となりましたが、制作してみていかがでしたか?
すごく楽しかったです。上下にページが分かれたギミックも面白くて。しかも以前発表した「持ってみたの」という作品とコンセプトなどを少し絡められたりもしたので、それはすごく良かったですね。

――「持ってみたの」はどのような作品だったのですか?
ガーディアン・ガーデン (リクルート運営のギャラリー)が主催の「1_WALL(_グラフィック部門)」というコンペ用に制作した作品でした。「持ってみたの」で参加したのは2018年の時で、当時はまだ学生でしたね。涼しげな顔で女の子がいろいろなものを持っている、というのが面白いかなと思って、蟹だったりテトラポットだったり電車だったり……普通は持たないようなモチーフをあえて選びました。絵本「のっけてみたの」は「持ってみたの」のセルフパロディとしてこのコンセプトを受け継ぎました。


▲持ってみたの「テトラポット」「蟹」

――モチーフを考える時に重視していることはありますか?
やっぱり面白さですかね。「持ってみたの」の時はなるべく無機質な感じが良くて……。あと、シルエットっぽかったということもあって、わかりやすい形も意識していました。「のっけてみたの」はソフトクリームとかイルカとか、子どもにも伝わるものでかつ、頭にのっていたら面白いだろうなと感じたものを選びました。

――今回はおしゃれな三姉妹が主人公ですね。
私の描く女の子たちは、無表情というのがチャームポイントなのですが、画面に変化を出すためにもいろんな女の子が出てきた方が楽しいかな、ということで三姉妹になりました。
姉妹それぞれの個性は髪型とか、服装で表現しています。私自身ファッションが好きなので、描く女の子には可愛いお洋服を着せたい!という気持ちはいつも持っています。

――色味もポップで目を引きます。
キャンバスに絵を描くとき、女の子の肌の色はいつも蛍光ピンクを薄めた色で塗っているんです。だから絵本でも蛍光ピンクは使いたくて。色校正では何パターンか色を出していただいたのですが、CMYKのマゼンタとイエローをそれぞれ蛍光ピンクと蛍光イエローにした色味に決定しました。私の作品はよく蛍光色を使用するので、シンプルに通常のCMYKで印刷するよりも、原画の雰囲気により近づいたんじゃないかと思います。


▲右が蛍光色使用、左が通常のCMYK

▲幻のマットPPバージョンも

――子ども向けの媒体ということで、何か意識したことはありますか?
特にないですね……。(笑)特別子どもに向けて描いたというよりも、本当にいつも通り楽しく描かせてもらいました。“高そうなツボ”とか、出てくるモチーフを子どもが理解できるかなという心配はありましたが……。

――絵本制作のご経験は以前にもあったのですか?
これも全くありません。学生時代に絵本を作る授業があったりもしたんですが、丸ごと1冊制作するのは初めてでした。でも、小学校の卒業文集で「絵本作家になりたい」って書くくらい絵本を作ってみたいなあ、という気持ちは以前から持っていたんです。絵本を見たり読んだりするのはすごく好きですが、物語を考えるのは難しいなとも思っていたので、今回の構成は自分にぴったりだったと思います。機会をいただけたことがありがたかったですね。

――絵本にちなんで、モニョさんが頭にのっけてみたいものを教えてください。
……でっかくておとなしい犬をのせてみたいです!

――最後にカプセルトイや絵本を楽しみにしているファンの皆様にメッセージをお願いします。
今まで、作品展などが私の絵を見てもらうメインの場でしたが、ガチャや絵本を通じていろんな層の方々がモニョチタポミチを知ってくださること、それがどんどん広がっていくことがすごく嬉しいです。これからも皆さんがどこかちょっと「うふふ」っていう気持ちになれる作品を作りたいです。今後ともよろしくお願いします!

2024年4月8日@ケンエレファント
構成・編集:水口麗

 
[プロフィール]

モニョチタポミチ
お絵描きのプロフェッショナル。クールで気まま、ちょっとだけゴキゲンな女の子の絵を描く。数々の企業イラストを手がけ、その他、展示やイベントなどで精力的に活動中。Instagram