僕をつくったあの店は、もうない。
都築響一編『Neverland Diner 二度と行けないあの店で』(2021年1月刊)は、100名の書き手が、それぞれのスタイルで“二度と行けない店”について綴った珠玉のエッセイ集です。
そんなネバダイの世界をよりディープに味わっていただくべく、「ネバダイ・オーディオブック」として、本書に収録された100話のなかから作品をセレクトして、朗読版の音声トラックを週イチで無料公開していきます。
朗読者は、女優の冨手麻妙さん、タレント・ナレーターの茂木淳一さん、朗読少女・アズマモカさん。それぞれのスタイルでネバダイ珠玉の一篇を朗読していただきます。
大島の漁師屋台|都築響一(編集者)※冒頭文抜粋
「ぼくは20歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい」と書いたのはポール・ニザンだったが、僕の20歳は美しくも惨めでもなく、ドラマもクライマックスもなく、ひたすら惰性のように日々が流れていった。
都心に住んでいたからクルマは必要ないし、だいいち家にクルマはなかったのに、なぜ運転免許を取りに行こうと思ったのかわからない。ヒマだけはたっぷりあったので、夏休みを利用して大学の同級生ふたりと伊豆大島の合宿免許コースを申し込んだ。
書籍情報
Neverland Diner 二度と行けないあの店で
都築響一 編
体裁:四六判変形/並製/カバー装
頁数:640頁(カラー写真頁含)
定価:3,300円+税
刊行:2021年1月22日
ISBN 978-4-910315-02-7 C0095