僕をつくったあの店は、もうない。
都築響一編『Neverland Diner 二度と行けないあの店で』(2021年1月刊)は、100名の書き手が、それぞれのスタイルで“二度と行けない店”について綴った珠玉のエッセイ集です。
そんなネバダイの世界をよりディープに味わっていただくべく、「ネバダイ・オーディオブック」として、本書に収録された100話のなかから作品をセレクトして、朗読版の音声トラックを週イチで無料公開していきます。
朗読者は、女優の冨手麻妙さん、タレント・ナレーターの茂木淳一さん、朗読少女・アズマモカさん。それぞれのスタイルでネバダイ珠玉の一篇を朗読していただきます。
ミクシィ時代の「都会の森ガーデン」|田尻彩子(編集者) ※冒頭文抜粋
私にとっての2000年代は、宴会の時代だった。
盆暮れ正月花見はもちろんだけど、飲む理由は何でもよかった。
そこに、宴会をしたい店があるからやるのである。
2000年代といえばつい最近のようだけど、何しろLINEがない。
大人数で飲もうと思ったら、メーリングリストを作るなり、幹事が一人一人電話やメールで誘うなりするわけで、想像するだけでもうめんどくさい。
しかし当時の私たちにはミクシィがあった。
宴会をしたければ、コミュニティを作り、仲間を招待すればいいのである。
まさに宴会革命。宴会2.0だった。
この頃には本当にたくさんの宴会したい店があった。そしてその店のすべては、もう今はない。
中でも「あれは本当にあったんだっけ」ともっとも不安になるのが、代田橋にあった「都会の森ガーデン」だ。
書籍情報
Neverland Diner 二度と行けないあの店で
都築響一 編
体裁:四六判変形/並製/カバー装
頁数:640頁(カラー写真頁含)
定価:3,300円+税
刊行:2021年1月22日
ISBN 978-4-910315-02-7 C0095